このサイトについて~店主ご挨拶~


 本を読まない人が増えてきたと、よく報じられます。商店街にある個人経営の
小さな本屋さんは、随分つぶれました。出版業界も安泰ではありません。定評
ある本を出版していた出版社の中には、倒産し、今ではその本の復刻を期待
できないものもあります。

 本を読まない→本が売れない→本屋がつぶれる→ますます本が身近になく
なって、読まなくなる……こんな悪循環がここ数年、加速度的に進行してきた
ようです。

 私は本好きです。ですが、正直なところ、他の人が本を読もうが読むまいが、
これまで無関心でいました。読書なんて趣味の世界。好きな人もいれば、嫌い
な人もいて、別にいいのです。ですが、最近叫ばれている「本離れ」「活字離れ」の
正体は、「本を読みたくない」という強い意志によるものではなく、単に本の魅力を
知らないことによる部分が多いんじゃないかという気がしてきました。

 本の素晴らしさを知ったうえで読まない人がいれば、それは個人の嗜好の問題
ですから仕方ありません。しかし、読書の効能といったものを知ってもらえず、
食わず嫌いになっているのでしたら、それは活字文化を支える出版社、書店側にも
責任の一端があるんじゃないかという気がするのです。
 私がインターネットを通じて古書店を営もうと決意したのは、本好きの一人として、
広く世の人に本の魅力を伝えていきたい……そう思ったからです。

 古書店も、随分つぶれました。大型新古書店が各地に出店する中、個人経営の
古本屋は厳しい価格競争を強いられ、とうとう経営が苦しくなっていったのでしょう。
出版業界、新刊書店以上に古本屋の生き残り競争は過酷です。
 ですが今のこの状況は、古書店にとってその存在価値を示す、絶好のチャンス
でもあると思うのです。

 流行の本を読みたい人は、新刊図書を購入すればいい。安く買いたい人は、
大型新古書店に行けばいい。個人経営の古書店は、個人店なりの魅力を演出
しないといけない時代だと思うのです。逆に、そういった魅力を演出できれば、
たとえ資本力に劣る個人店であっても、厳しい時代の荒波を乗り越え、世の中の
人に愛される店となっていく……そんな気がするのです。

 では、個人店なりの魅力とは何か? 人によって、解答はさまざまでしょうが、
私の場合、「本の魅力を伝えること」だと考えます。できる限り多くの本を読んで、
できる限り素晴らしい本を、世に紹介する。単に入ってきた商品に値札を貼って
棚に並べるだけ……というのでは、その店の個性が発揮できません。
 ですから私は、私自身の言葉で、様々な角度から本の魅力を語り、少しでも
本好きの人を増やせればと思っています。当店のキャッチフレーズに「魅力、
再発見!」とあるのは、忘れられつつある本の世界の魅力を知ってもらいたい……
そんな思いからです。

 どんな本があるのだろう? ちょっと、この作家の本を読んでみたいが、面白い
のだろうか? ……そんな感じで気軽にこのサイトをのぞいてもらい、よかったら
お買い求めいただければ、と思います。

 古書の世界は、奥深いです。広く世に本の素晴らしさを伝えたいという想いと
裏腹に、絶版になっている貴重な本の場合には、定価以上の高額で値付けして
いるものもございます。ご購入いただければ嬉しいですが、そうでなくても、
「こんな本があるんだ」といった感じでウィンドウショッピングのように、サイトを
楽しんでいただければと思います。

 実は、ネットショップを開くまで、ある葛藤がありました。私は本好きでよく読んで
います。しかし、それは世間一般の人と比較した場合の話で、古書店の店主と
して「プロ」を名乗るほどには、まだまだ勉強不足じゃないかという気がしていた
のです。

 実際、私よりも古書の知識に詳しい古本屋はいくらでもいますし、珍しい本を
多数取り揃えている店も少なくありません。しかし、そういった強力なライバルが
いる中で、なお自分の店を持とうと思ったのは、まだまだ世の古書店は、本の
魅力を語り尽くしていないと感じたからです。

 私は、全くの読書初心者のためのサイトとして、このネットショップを立ち上げ
ました。極力、分かりやすい言葉で説明し、本の世界になじんでもらうと思って
います。そしてそれは、まだまだこの業界で若輩である今のうちだからこそ
できることじゃないかと思っています。色々なことを知り、それが自分の常識に
なってしまえば、なかなか人に伝えるというのは難しくなるものだからです。

 このサイトをきっかけに本の魅力を知っていただき、無類の読書家に
育っていく人が一人でも出てくれば、これに勝る喜びはありません。

 では、素晴らしい本の世界をじっくりとご堪能ください。

2014年3月 ロビン・ブックセンター店主 林 晃洋

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